通訳の独学が限界になる理由|「伸びが止まった」なぜなぜ分析#00

通訳の独学が限界になる理由|「伸びが止まった」なぜなぜ分析 通訳訓練・技能強化

現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
私は現在、通訳学校のサイマルアカデミーで通訳スキルを磨きつつ、製造業(自動車)の現場で社内通訳として働いています
このシリーズでは、製造業の現場でも馴染みのある「なぜなぜ分析」で、通訳訓練でぶつかった壁を分解しながら振り返ります。

私は、通訳の勉強を独学で続けていました。

リスニングも英会話も、日常や業務ではそこまで困っていなかった。

でも、ある時期から明確に「伸びが止まった」感覚が出てきました。

通訳業務を積み重ねてやっているのに、伸びない、手応えが増えない。
そして何より、「何を直せばいいか分からない」

今日はこの“独学の限界”を、なぜなぜ分析で整理してみます。

記事の概要

本記事は、通訳の独学で伸びが止まった私が、その原因を「なぜなぜ分析」で言語化した振り返りです。独学が悪かったのではなく、要求水準の変化と、診断不在が噛み合ったときに何が起きるのかを整理しました。

この記事が刺さるのは、こんなとき
・勉強はしているのに、伸びている実感がない
・失敗の理由が毎回バラバラに見えて、改善点が定まらない
・「独学のままでもいける?」と迷っている
※ひとつでも当てはまったら、「原因の切り分け」の材料になるかもしれません。

はじめに

通訳訓練で一番つらかったのは、できないことより「なぜできないのか分からない」状態が続くことでした。

練習量だけ増えて、手応えが戻らない。原因が見えないまま走ると、心が先に削れていきます。

そこで、このシリーズを始めることにしました。

製造業の現場でも馴染みのある「なぜなぜ分析」で、通訳訓練でぶつかった壁を一つずつ分解して、崩れる地点を言語化するためです。

ここでやりたいのは、上達法の“正解集”ではありません。

私がどこで詰まり、何が引き金で崩れ、どう立て直そうとしているのか。

その過程を、原因の切り分け材料として残していきます。

もし今、「頑張っているのに伸びない」「崩れ方が分からない」と感じているなら、この振り返りが、あなたの壁を見つけるヒントになれば嬉しいです。

なぜなぜ分析|独学で伸びが止まった理由

なぜ1:なぜ独学で伸びが止まった?

結論:通訳は、ある段階で「伸び方のルール」が変わるからです。

独学は「自分で課題を見つけて自分で直す」が回っている間は伸びます。

でも、あるラインを越えた瞬間、課題が「語学」から「通訳処理」に移りました。

聞き取れているのに詳細が落ちる/分かっているのに訳が整わない。

直感的に「語学」ではなく「処理」の問題だと感じても、どこで崩れているのかが見えない。

私の場合、いきなり通訳を任されたのではなく、社内翻訳の下積みがありました。

翻訳した内容をベースに議論される会議で、最初は「困ったときのヘルプ通訳」から入り、徐々に通訳の割合が増えていった感じです。

だからこそ、多少の崩れがあっても“努力でなんとかなる”場面が多く、我流のまま引き延ばしてしまった。

でも背景知識が積み上がってくると、訳出の崩れが目立つようになりました。

なぜ2:なぜその変化に対応できなかった?

結論:ルールが変わったのに、独学にはそれを測る「診断手段」がなかったからです。

私には「崩れを診断する基準」がありませんでした。

通訳処理の段階では、「できない」という結果だけ見ても原因が分かりません。

音の処理なのか/意味確定なのか/構造なのか/保持なのか/出力なのか。

どの工程で詰まったかを切り分けて、初めて修正の方向が決まります。

でも独学だと、この“診断”が持てない。

結果として「何を直せばいいか分からない」状態になりやすいのだと思います。

では、なぜ独学では診断手段が持てないのか。ここをもう一段掘ります。

なぜ3:なぜ独学には診断手段が持てない?

結論:崩れを“工程”として特定できず、修正仮説が立てられないからです。

独学だと、不良品(訳せない)は見えるのに、どの工程で不良が起きたか(どこで詰んだのか)が見えにくい。

私は当時、実務の通訳でも準備や振り返りはしていました。

でも、振り返りはこういう言葉で終わりやすかった。

  • 今日は難しかった
  • 語彙が足りなかった気がする
  • 集中できなかった

ここで問題なのは「感想で終わること」そのものではなく、次の練習に繋がる“修正仮説”が立たないことです。

音なのか/意味確定なのか/構造なのか/保持なのか/出力なのか。

どこがボトルネックかを特定できないと、次にやる練習の“狙い”が決まりません。

つまり私は、原因に手を当てられないまま、努力だけを上乗せしていました。

そして、あれこれ試してもなんか空回り──そんな状態でした。

なぜ4:なぜそれが空回り(誤学習)になる?

結論:診断できないままだと、練習が“当たりそうな所”を叩く形になりやすいからです。

弱点が特定できないままだと、練習はどうしても“当たりそうなところ”を叩く形になります。

私も、効いているか分からないまま、とにかくやることを増やしていました。

要求水準が低いうちは、独学でも回りました。

多少の弱点があっても、気合いと工夫で補いました(笑)。

でも要求水準が上がると、崩れ方が変わります。

「部分的なミス」ではなく、連鎖的に崩れるようになる。

一箇所で遅れる
→ 追いつくのに必死になる
→ 前後関係が抜ける
→ 推測が効かない
→ さらに遅れる

こうなると、練習量を増やすほど、見えない悪いクセが習慣化されて逆に強化されます。

診断がないまま練習量だけ増えると、「間違ったフォームで筋トレをする」のと同じで、伸びないどころか痛めてしまうことに。

ただ、この段階ではまだ、ズレを“気合い”で補える余白がありました。

空回りが「限界」として表面化したのは、その余白が消えた瞬間です。

なぜ5:なぜ余白が消えた瞬間、独学が限界に?

結論:余白が消えた状態では、診断(ものさし)がないと立て直せないからです。

私の場合、“補える余白”が減ったのが大きかったです。

つまり通訳する「素材が難しい」というより、条件の揺れが増えて、処理の土台が問われる場面が増えました。

  • オンライン会議が増え、音声条件が悪い
  • 話者が増え、アクセントも話し方もバラバラ
  • 教育コンテンツや専門性の高い説明が入る
  • 場合によっては、同時通訳に近いスピードを要求される

支えが減って、負荷だけ増えました。

当時の私
当時の私

今日も想定外の連続。。。
アジェンダにない話に発展していったから技術的な会話についていくのが大変だった💦


そしてこの変化は、私の独学の弱点をはっきり表面化させたのです。

「英語が分かる」だけでは足りない。通訳の処理として耐えられない。

この段階で初めて、私は「独学の限界」という言葉に現実味が出ました。

余白が消えると、崩れた「工程」で直さないと戻りません。

でも独学には、その工程を測る“ものさし”がない。

だから私は最終的に、「努力を増やす」ではなく、やり方を変える方向に振り切りました。

それは通訳学校に行くことでした。

結論:通訳学校での訓練を選んだ3つの理由

通訳学校(サイマル)の入校を決めた経緯は回顧録に残しています。
サイマルアカデミーを選んだ理由(回顧録)

ここでは、結論だけを3つに絞って整理します。

① 客観指標が欲しかった
今の自分がどこにいるのか、何が弱点なのか。
独学ではここが曖昧なままになりやすい。
“直す場所”が見えないまま努力だけが増えていきました。

② 体系だった訓練が必要だった
通訳は、闇雲に練習しても伸びません。
「どの順番で、何を鍛えるか」があります。
独学だとこの設計が難しく、私はそこで遠回りしました。

③ 環境が必要だった
相談できる人がいる。崩れ方を見てもらえる。
同じ壁を通っている人がいる。
この“環境”が、想像以上に効きました。

独学の限界は、能力不足だけではありません。

孤独と曖昧さが、じわじわ削ってくる。

将来のキャリア設計も考慮した上で、最終的な解決策として「通訳学校」を選択しました。

通訳学校が、誰にとっても最適解だとは思いません。

ただ多角的に考えた結果、私にとっては「最も現実的な解決策」でした。

独学の限界や独学か通訳学校かについては、下記の記事でも違う視点からまとめています。
通訳学校に行くべきか?悩んだら考える5つのポイント
通訳トレーニングは独学でどこまでできる?


また、通訳学校を検討してみたい、検討中という方は、下記の記事も参考にしてみてください。
後悔しない通訳学校選びの判断基準

まとめ:独学が限界になる理由

独学では弱点を診断できない

私の独学の限界は、こうつながっていました。

伸び方のルールが変わる(語学 → 通訳処理)
崩れを工程として特定できない(診断できない)
修正仮説が立たず、練習が“当たりそうな所”叩きになる
結果として空回りが誤学習になり、崩れ方が連鎖型になる
そして余白が消えた瞬間、独学では立て直せなくなる
だから私は「測れる場所」(客観指標・体系訓練・環境)を選択

つまり問題は「独学が悪い」ではなく、独学が機能しづらい局面に入ったことでした。

振り返って思うこと

私にとっての“なぜなぜ分析”は、上達法というより、折れないための道具になりました。

努力を増やす前に、「どこで崩れているか」を言葉にして切り分ける

それができないと、練習は空回りしやすい。

私にとっての「独学の限界」は能力の話というより、診断できない状態で負荷が上がったときに起きる、構造的な詰まりでした。

だからこそ、努力を増やすより先に「測れる場所」に移る必要がありました。

本記事が、「伸びが止まった」と感じている方の原因の切り分け材料になれば幸いです。


 📖 なぜなぜ分析|振り返りノート
通訳訓練でぶつかった壁を一つずつ分解し、崩れる地点を言語化して残しています。
「原因の切り分け」に役立てばうれしいです。


どのトレーニングに落とし込むか迷ったら、まずは全体地図から。
通訳訓練の3本柱(入口・総論)

この記事は有益でしたか?

   

このブログを書いている人

社内通訳として働きながら、通訳学校で学んだことをベースに「英語学習の工夫」を発信しています。
シャドーイングやディクテーション、独学の限界など、実践的に役立つ情報をお届けします。

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