回顧録#07: サイマル通訳準備 ― 中間テストと授業見学で迎えた転換点

回顧録#07|サイマルアカデミー通訳準備 中間テストと授業見学で見えた通訳訓練への転換点 通訳学校体験記

現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
通訳学校での学びや日々の奮闘を、実体験を交えて綴る「通訳学校回顧録」シリーズをお届けしています。

記事の概要

中間テストを通じて基礎力を確認しつつ、授業見学や長いポーションへの挑戦を経て、「英語学習」から「通訳訓練」へと学びの重心が移り始めた節目を描いた回顧録です。

はじめに

期の授業が半分進んだところで、中間テストが実施されました。
出題範囲は事前に提示されており、期の前半で取り組んできた基礎訓練の成果を総合的に確認するものでした。

告知を見た瞬間、頭に浮かんだのは一つ。
――これまで積み重ねてきた英語表現を「どこまで使いこなせるか」が試される、ということでした。

中間テスト対策と結果

私は、提示された範囲をもとに一に復習、二に復習、三・四・五に復習
具体的にはこんな流れでした。

  • クラスで扱ったニュース記事を日本語に通訳し直し、要点を整理
  • 音声を繰り返し聞き、リプロダクションやシャドーイングで再現
  • 模擬対談通訳の練習を録音&アプリで書き起こし、自分の弱点を分析

仕事と両立するには負担が大きく、有給を1〜2日取って集中演習にあてました。
「模擬対談通訳をどれだけ落ち着いてこなせるか」が最大の課題だと感じ、サイマル専用プレーヤーで練習に取り組みました。

テスト本番では、緊張したものの、復習をみっちりしたおかげか、自分が思ったよりも冷静に挑めました。緊張からか細かい凡ミスは出ましたが、大きく崩れることはなく、中間テスト後のガイダンスでは講師から、「この調子で続けて」との言葉をいただきました。

その一言が、次の授業への小さな灯になった気がしました。張り詰めていた胸の奥がふっと軽くなったことを覚えています。

中間テストでは、模擬対談通訳といった通訳要素も含まれていましたが、どちらかというと、まだ英語学習成果のテストという印象が強かったです。これは、期末テストではがらりと豹変しますが、こちらは別の回顧録で触れたいと思います。

中間テスト後の授業見学

中間テストの後、サイマルアカデミーの制度で、ひとつ上のクラスの授業を見学できました。
扱っていた教材はビジネススピーチで、一定量の音声を聞いて通訳に加え音源を聞いてその内容を要約する課題。

第一印象は――「英語学習」ではなく、完全に「通訳訓練」の領域。
リテンション、リプロダクション、要約といった技術を実践する空気が満ちていました。

授業見学では、果たして自分はこの授業に付いて行けるのか?今はついていけなくても、事前にしっかり予習したらついていけそうか?そんな視点で過ごした2時間の授業見学。

そして、授業見学での感想はーー

事前予習と復習を覚悟持ってやればギリギリついていけそうだ」

このような感触を得ることが出来たのは、通訳準備クラスで私が独自にやっていた予習方法に手ごたえを感じていたからだと思います。

二重仕込みの安心感

通訳準備での学びを振り返ると、やはりカギになったのは事前準備と予習・復習のサイクルでした。授業で扱うトピックは事前に共有されるため、私は必ず日本語と英語の両方でニュースや記事を調べ、背景を押さえてから臨むようにしていました。

日本語でも情報を押さえておくと、いざ通訳する際に自然な表現が出やすくなる。そんな「二重仕込み」が後々の安心感につながっていました。

A・Bセッションでは英語表現を吸収し、C・Dセッションでそれを実際にアウトプットにつなげる。その流れを体験するたびに「予習で仕込んだ知識がここで生きる」と実感しました。

もちろん、思うように言葉が出てこずに歯がゆさを味わうこともしばしばでしたが、事前準備の有無で授業の手応えはまるで違いました。

特にBセッション後の取り組みは、講師からの指示ではなく、自分で工夫して始めた方法でした。授業で使ったニュース動画を一度自分で書き起こし、その上に自分なりの訳をつけるのです。

本来ならDセッションが終わったあとで公式の書き起こし資料が配布されましたが、私はあえてそれを待たずに、音源だけを頼りに耳と集中力で一文ずつ拾い上げていきました。

書き起こしアプリも使わず、ひたすら自分の耳と手でやり切る。時間はかかるし、何度も再生を繰り返す根気が要りましたが、この作業が通訳の基礎力を確実に底上げしてくれました。

自分のニュースレポートの訳Dセッション聞いた講師の訳例、自分の書き起こしと公式の書き起こしを突き合わせると、聞き逃しや曖昧に処理していた部分が一目瞭然になり、その分だけ復習の密度が上がりました。

こうして「調べる → インプット → 自分で再現する → 振り返り」のサイクルを繰り返すうちに、学習は単なる英語練習から、通訳者の耳と頭を鍛えるための訓練へと確かに変わっていったように思います。

伸びていくポーション、立ちはだかる壁

短いポーションから長いポーションへ

中間テストが終わると、通訳準備の授業も次のステップ、メモ取りの指導が入りました。ICクラスへの布石が打たれているのだと感じました。

これまで模擬対談通訳では1~2文程度の短いものを扱い、メモ取りは必要に応じて可取ってよい、という立ち位置でした。ですが、ここからはポーション(通訳する単位)が約2倍弱ほどに長くなったのです。

音源のスピードはまだIC1クラスよりやや緩やかでしたが、「ここからは、通訳に必要な基礎力があるかどうかを、ひそかに評価され始めているのかもしれない」――そう受け止めた瞬間、授業の意味合いが一段と重みを増しました。

メモと聞き取り、その両立のむずかしさ

聞きながらメモを取ることは一見単純ですが、実際にやってみるとその難しさに直面します。実務の通訳では基本的に知っている内容を扱うため、多少の言いよどみはあっても、あまりメモ取りせずに通訳できていました。ですが、準備科の教材での通訳はそうはいきません。

メモに神経を使えば聞き取りが疎かになり、逆に聴くことに集中すれば細部を取りこぼす。そのバランスに苦戦しました。記号を使ったまとめ方や省略の工夫など指導はありましたが、理解と実践の間には大きな隔たりがありました。

内容を「構造」で捉える耳を育てる

長いポーションに向き合う中で痛感したのは「内容を構造で捉える力」の必要性です。表層の単語やフレーズに気を取られると、頭が真っ白になり、全体像をつかめなくなる。

逆に、大枠を意識して聞けたときは、多少細部が抜けても全体を組み立て直せる――長いポーションは、聞き手としての集中力とまとめる力を同時に試す訓練でした。

基礎を確かめる時間としての前半と中間テスト

通訳準備の前半と中間テストは、私にとって「基礎を確かめる時間」でした。授業で習ったことを反復し、確認し、積み重ねる。その延長線上で迎えた中間テストは、まだ英語学習としての色合いが濃いままのテストだったように思います。

けれども、その後に続く授業の中で、ポーションが長くなり、メモ取りが本格的に求められるようになり、さらに上のクラスの見学で通訳訓練の空気に触れたことで、「ここからは通訳者として鍛えられる時間が始まったのかもしれない」と感じるようになりました。

さいごに

振り返れば、中間テストの前後は、私にとって「学習から訓練へ」という転換点――というより、最初から訓練の場だと思っていた学びに、より一層の厳しさと覚悟を求められていることを思い知らされた瞬間だったように感じます。

次回は、準備科後半の小さな積み重ねと、暗唱課題や赤ペン先生、自主的な復習を通じて感じた手応えと不安、期末テストを前に募った「そわそわ」を振り返ります


このブログを書いている人

現役社内通訳者として、サイマルアカデミーで学んだ日々を「回顧録シリーズ」として記録しています。
授業での体験や葛藤、成長の過程を率直に記録しています。
同じように通訳を目指す方に「リアルな声」として参考になれば幸いです。

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