
現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
私はサイマルアカデミーで学びつつ、製造業(自動車)の現場で社内通訳として働いています。
「通訳学校の学費は高いし時間も取られる。でも、独学では限界を感じる……」
そう感じていませんか?
通訳学校は、プロから直接学べる貴重な場ですが、1学期で数十万円という大きな投資が必要です。「本当に行く価値があるのか?」と迷うのは当然のこと。
本記事では、私の実体験と現場での経験をもとに、通訳学校に行くべきかどうかを判断するための「5つの物差し」を整理しました。
この記事はこんな人におすすめです!
・通訳学校への入学を検討しているが、高い学費や時間的負担で迷っている方
・通訳学校に興味はあるが、レベルが高そうで二の足を踏んでいる方
・独学を続けてきたが、「このまま一人でやっていてプロになれるのか?」と限界を感じている方
・自分のキャリアにとって、今が学校に通うべきタイミングなのかを客観的に判断したい方
・ネット上の情報ではなく、現役生の視点から見た「通訳学校の本当の価値」を知りたい方
【クイック診断】あなたは今、通訳学校に行くべき?
まずは、現在の状況をチェックしてみましょう。
「今すぐ検討すべき」人
- 将来、通訳を仕事(社内・会議通訳など)にしたい
- 独学を半年以上続けたが、成長が止まったと感じる
- 自分の訳が良いのか悪いのか、プロの視点で評価してほしい
「まだ独学でいい」人
- まずは英語の基礎力(語彙・文法)を底上げしたい段階
- 通訳そのものより、英会話を楽しみたい
- 週に10時間以上の学習時間を確保するのが難しい
①英語力の目安:脳のメモリに「余裕」はあるか?
第一前提として、通訳学校の入校に必要な英語レベルは、TOEIC 900点前後や英検1級がひとつの目安です。しかし、重要なのはスコアそのものではありません。
「英語を理解することに、脳のメモリを使い切っていないか」が分かれ道です。
私の経験から言えるのは、優先すべきは「題材の知識」よりも、まずは「圧倒的な英語の基礎力」だということです。
「英語力」vs「背景知識」の優先順位
通訳学校では時事問題など幅広い題材を扱いますが、優先すべきは「背景知識」よりも「圧倒的な基礎英語力」です。
通訳学校の授業では、「英語は理解できている前提」で、細かい文法解説は一切ありません。知識は予習で補えますが、文の構造を正確に捉える力が不足していると、授業での高度な訓練(記憶保持・再構成)についていけません。
文法理解が不十分なまま授業に臨むのは、精神的にも大きな負担になります。実際に私が受講したクラスでは、文法理解が不十分なために誤訳をしても、すぐに「文法を取り違えている」とは指摘されませんでした。
その代わり、正しい意味になるまで繰り返し通訳をやり直すよう求められてました。学びの場とはいえ、クラスメイトが聞いている中、同じ箇所を繰り返し通訳し直すのは、精神的に負担になる人もいるでしょう。
「精神的な余裕を持って授業に挑めるか」を自問してみてください。
なぜ「英検1級」が指標になるのか?
私が英検1級を強く推奨する理由は、その試験形式にあります。特に2次試験のスピーチ課題は、まさに通訳のエントリーレベルの訓練そのものです。
- 短時間で論点を整理する
- 社会問題を論理的に構成して話す
- 未知のテーマでも「Educated Guess(推測)」で乗り切る
実際、私が受けたサイマル・アカデミーのレベルテストも、この英検2次試験に非常に似た形式でした。この形式に慣れているかどうかで、入校後の「伸び」が大きく変わります。

ただし、1級取得はあくまで「本格的なスタートライン」に立ったに過ぎません。授業ではさらに実践的でシビアな課題が待っていますが、そこへ挑むための「最低限のパスポート」として、英検1級レベルの力は持っておくべきだと思います。
もっと詳しく知りたい方へ:
▶通訳学校に入れる英語力とは?英検1級・TOEIC・英語通訳者が語る“本当の入口”
サイマルアカデミーのレベルテストの体験:
▶サイマルアカデミ レベルチェックの回顧録
通訳学校まわりの全体像をまとめて見たい方へ:
▶通訳学校について一気にわかる案内板
②目的の再確認:通訳は「仕事」か「学び」か
通訳学校は「英語を学ぶ場所」ではなく、「英語力があるのを前提に、通訳技術を磨く場所」です。
自分の考えを英語で話す、あるいは相手の英語を理解することと、「通訳」との間には大きな隔たりがあります 。通訳には「相手の発言の意図を正確に把握し、ターゲット言語で論理的に再構成する」というプロセスが必ず入ります 。
単なるリスニング・スピーキングとは根本的に違う「情報処理の負荷」がかかるため 、英語力がある人でも、この思考回路(通訳脳)との違いに、最初は苦戦する人が多い印象です 。
- プロ(社内・会議通訳)を目指すなら:
体系的な訓練と、同時通訳などの高度なスキル習得のために、学校は最短ルートになります。 - 趣味や自己啓発なら:
独学や短期セミナーの方が、コストを抑えつつ「英語を使う楽しみ」を広げられるかもしれません。
実際、初級クラスでは「英語をもっと学びたい」という気持ちで履修している方もいました。ですが、通訳学校のカリキュラムは 英語そのものを学ぶ場として想定されていません。ここを見誤ると「思っていたのと違う」という後悔に繋がりかねません。

「今の自分が行くべきタイミングか?」と悩んでいる方は、まず仕事にしたいのか/学びとして楽しみたいのか を軸に、考えてみるといいでしょう。
通訳学校選びで後悔しないための完全ガイド:
▶通訳学校の入学基準・レベル構造・訓練内容までわかる“完全ガイド”
③独学の限界サインと目指すゴール
独学でも通訳力はある程度伸ばせます。しかし、次のような壁にぶつかったら、通訳学校の力が必要かもしれません。
これらは「独学の限界」を示すサインです。学校に通えば、プロ講師から具体的な改善点を指摘してもらえるので、短期間で大きく伸びる可能性があります。
💡 あなたの「ゴール」に合わせた判断基準
独学で通訳はどこまで通用するのか?については、下記の記事にまとめてあります。

私自身の独学の限界についてのなぜなぜ分析もしているので、よかったら合わせて読んでみてくださいね!
▶通訳トレーニングは独学でどこまでできる?できること・できないことを徹底解説
▶なぜなぜ分析#00|独学が限界になる理由
④学費と時間の「投資」に納得できるか
通訳学校への入学は、人生における大きな投資です。「お金」も、「時間」も。ここを曖昧にすると、挫折のリスクが高まります。
- 金銭的コスト:
1学期で数十万円、年間では約40〜60万円前後の学費がかかります。さらに教材費や「残業できたはずの時間」という見えないコストも乗ってきます。 - 時間的コスト:
週1〜2回の授業に加え、最低でも予習・復習に週10〜15時間を捻出できるライフステージにいるでしょうか。 - 「覚悟」の有無:
訓練を続ける中で必ず訪れる「プラトー(停滞期)」に、どれだけ自分を律して改善を積み上げられるでしょうか。「長く続けられるかどうか」を冷静に判断する必要があります。
以前、私のクラスの講師が言った言葉が今も胸に残っています。
「結局、上のクラスに進めた人とそうでない人の違いは、通訳者になる覚悟があるかないか。それに尽きる」

この言葉に頷けるなら、投資する価値は十分にあります。仮に途中でドロップアウトするようになったとしても、覚悟を持って取り組ん出来た過程で得た経験と知識は、財産になります。
通訳学校に行くかどうかを考えるのは、学費+時間を投資してでも通訳としてのキャリアを取りに行きたいか?を自分に問うタイミングでもあります。
通訳学校のクラス構成や進級については、下記に詳しく書いています。
・【予習】入学前に知っておきたい「通訳学校の全貌」
・【比較】サイマル・ISS・インターのレベルクラス|通訳学校の進級ステップを徹底解説
・【現実】通訳学校の進級はどれくらい厳しい?サイマル・ISS・インター
・【現実】通訳学校の進級でぶつかる「4つの壁」|IC3での再履修経験から見えたつまずき方
👉 おすすめのステップ
- 無料説明会や体験レッスンに参加して、授業の雰囲気を知る
- 仕事や家庭のスケジュールと照らし合わせて無理がないか確認する
- 続けられるかどうかを事前に見極める
5. 仲間や人脈が欲しいか?
通訳学校の大きな魅力は、同じ目標を持つ仲間に出会えることです。
- 勉強のモチベーションを保てる
- 実務経験者からの情報が得られる
- 将来的な仕事の紹介につながることもある
独学の最大の弱点は、どうしても孤独になりがちなこと。通訳訓練は精神的な負荷が高いからこそ、励まし合える仲間の存在は継続の大きな支えになります。
実際に私も、社内通訳として現場に立つ中で「他の通訳者はどうしているのか?」「この対応で正解だったのか?」と一人で悩むことが多々あります。
その点、通訳学校は貴重な情報交換の場です。上のクラスに進むと、すでにフリーランスとして活躍しているクラスメイトや、百戦錬磨の講師から、「現場の生きた知恵」を直接聞くことができます。
こうした交流は、単なる人脈作りを超えて、プロとして歩み続けるための大きな財産になると感じています。
独学で限界を感じた時、通訳学校という選択肢もありますが、巷で言われる『意味ない』という噂の真相や、その後のキャリアへの繋がりについては、下記で詳しく解説しています。
▶通訳学校ガイド記事
まとめ:自分にとっての「正解」を選ぼう
通訳学校に行くべきかどうか、迷ったら次の5点を自分に問いかけてみてください。
- 英語力:通訳訓練の負荷に耐えられる土台があるか?
- 目的:プロを目指すのか、趣味として深めたいのか?
- 環境:独学の限界(孤独)を感じていないか?
- 投資:学費と時間に納得できるか?
- 仲間:プロの視点や切磋琢磨する仲間が欲しいか?
通訳学校は行くべきかどうか?と迷ったときはこの5つの視点を参考にしてみてください。もし「今は学校じゃないかも」と思っても、短期講座やプライベートレッスンなど、道は他にもあります。

自分の目的と状況を見極めること——納得できる選択をする上で大事だと思います。以下の詳細記事もあわせて参考にしてくださいね。
本記事が、みなさんの学校選びや学習の参考になれば幸いです。
次に読んでほしい、おすすめの関連記事:
迷っている段階に合わせて、以下の記事を参考にしてみてください。
通訳学校全体を俯瞰したい方へ:
▶通訳学校について一気にわかる案内板
自分にあった通訳学校の選び方に知りたい方へ:
▶【予習】入学前に知っておきたい「通訳学校の正体」と具体的な訓練内容
▶【判断】サイマル・ISS・インターのレベルクラス比較|自分に合うのはどれ?
大手通訳学校では、どのようにして進級していくのか?気になる方へ:
▶【現実】進級テストはどれほど厳しい?3大校の「合格基準」を徹底比較
▶【攻略】進級の壁をどう突破する?挫折を防ぐためのマインドセット
筆者のサイマルアカデミー通学の記録は下記の回顧録シリーズで書いています。
気になる方は、こちらも参考にしてみてください↓
この記事は有益でしたか?
このブログを書いている人
社内通訳として働きながら、通訳学校で学んだことをベースに「英語学習の工夫」を発信しています。
シャドーイングやディクテーション、独学の限界など、実践的に役立つ情報をお届けします。


