
現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
私は現在サイマルアカデミーで学びつつ、製造業(自動車)の現場で社内通訳として働いています。
通訳学校選びで最も気になる「クラス編成」と「進級の仕組み」。 本記事では、大手3校(サイマル・ISS・インター)のレベル構造を横並びで徹底比較しました。 各校のカリキュラムに込められた「思想の違い」や、プロになるまでの最短ルートを、現役受講生の視点で分かりやすく解説します。
この記事はこんな人におすすめです!
大手3校で迷っている人 (「どこが一番自分に合うレベルからスタートできるか」を知りたい)
効率よくプロを目指したい人 (「同時通訳」への導入タイミングや、進級の速さを比較したい)
入学後のミスマッチを防ぎたい人 (各校の通訳訓練方針の傾向を知りたい)
サイマル、ISS、インターの「クラス名」がややこしくて混乱している人
はじめに
通訳学校への入学を決めたとき、次にぶつかる壁が「どの学校の、どのレベルからスタートすべきか?」という問題です。
学校によってクラスの名称も進級ステップもバラバラ。学費の比較はあっても、「教育設計の思想(何を目指して訓練させるか)」を横並びで比べた情報はなかなか見当たりません。
本記事では、大手3校(サイマル・ISS・インター)のクラス体系を徹底比較。現役生の視点から、「着実に進みたいならどこか」「最短で現場に出たいならどこか」、その判断基準を整理しました。
「通訳学校に行くべきか迷っている」段階の方は先にこちら
▶通訳学校に行くか悩んだら考えるべきポイント
通訳学校まわりの全体像を知りたい方
▶通訳学校について一気にわかる案内板
各校の入学目安:共通して求められる「本当の土台」
各校、最下位クラスへの入学目安としてTOEIC 800〜900点、英検1級レベルを掲げています。
| 学校 | 最下位クラス | 入学の目安(公式) |
|---|---|---|
| サイマルアカデミー | 通訳準備(A-1) | Advanced-1 判定が必要。目安は TOEIC900点以上 |
| ISSインスティテュート | 通訳準備科 | 対象レベルはTOEIC800点程度(2025年秋学期案内より) |
| インタースクール | 通訳準備科 | 英語総合力テスト+通訳テストで Business level4 以上と判定された方 レベルテスト免除条件:過去2年以内に英検1級、TOEFL iBT 110、IELTS 8.0 以上 |
一部には免除制度もあり(英検1級、TOEFL高得点、過去の受講歴など)、ただし免除が適用されるのは原則「最下位クラス」に限られます。
ただし、ここで注意が必要なのは、スコアはあくまで「受験資格」のようなものだということです。授業は「英語ができる前提」で進むため、基礎力に不安があると、通訳訓練そのものに入る前に挫折するリスクがあります。
▶通訳学校に入れる英語力とは?スコアより大事な「即応力」の話
これを踏まえ、各校がどのようなステップでプロを育てているのか、具体的なクラス構造を見ていきましょう。
通訳学校のレベル体系を比較(サイマル/ISS/インター)
※本記事の内容は、各スクールの公式サイト(2025年秋学期時点)に基づきまとめています。
実際にサイマルアカデミーに通ってみると、他校と比べてクラス設計の思想がかなり異なることを感じました。
- サイマル: 逐次を完璧に固めてから同時通訳へ(職人的な積み上げ型)
- ISS: 階段を細かく刻んで、一歩ずつ確実に(挫折させない教育型)
- インター: 早くから実践・同時を意識(現場主義のバランス型)
以下では、サイマルでの経験を軸にしつつ、ISS・インタースクールの公式情報を参照しながら整理した私なりの分析をお伝えします。
サイマルアカデミー:逐次を完璧にして同時通訳へ「職人型」設計
サイマルはクラスとしては7段階(4工程):準備 → 逐次基礎 → 逐次完成 → 同時に整理できます。
- 準備段階 (通訳準備)
文法・リスニング・通訳訓練法(シャドーイングなど)を学ぶ - 逐次基礎段階 (通訳 I・II)
短文逐次の練習、ビジネス現場での逐次対応力を養う - 逐次完成段階 (通訳 III・IV)
高度逐次に対応できる力を養成 - 同時通訳段階 (会議通訳 I・II)
瞬発力を鍛え本格的な会議同時通訳に対応できるレベルへ
| クラス | 内容・特徴 | 想定案件例 |
|---|---|---|
| 通訳準備(A-1) | 通訳に必要な基礎力(文法・リスニング強化)と訓練法を習得 | ・通訳・翻訳を含むバイリンガルセクタリー・英文事務 |
| 通訳 I | 初歩的な通訳技術を学び、基礎演習を行う | ・通訳・翻訳を含むバイリンガルセクタリー・英文事務 |
| 通訳 II | 逐次通訳の基礎を完成させ、ビジネス通訳に挑戦する | ・通訳・翻訳を含むバイリンガルセクタリー・英文事務 ・社内通訳(逐次・ウィスパーなど) ・商談逐次、展示会ブースアテンダント |
| 通訳 III | 逐次通訳技術の基盤を築き、現場での演習を始める | ・社内通訳(逐次・ウィスパーなど) ・商談逐次、展示会ブースアテンダント |
| 通訳 IV | 安定した逐次通訳スキルを身につけ、ビジネス通訳者レベルに到達する | ・社内通訳(逐次・ウィスパーなど) ・商談逐次、展示会ブースアテンダント |
| 会議通訳 I | 逐次通訳を土台に、同時通訳の基本を習得する | ・トップ付き・プール制通訳 ・社内会議同時、研修セミナーなど |
| 会議通訳 II | 高度な同時通訳スキルを磨き、多分野に対応する | ・トップ付き・プール制通訳 ・社内会議同時、研修セミナーなど |
【特徴】迷いのない「職人型」シンプル設計
クラスは4つの大きな工程(全7段階)で構成。逐次と同時の境界線が最もはっきりしています。
【他校との違い】
ISSのように細かく刻まず、インターのように早期に同時を混ぜることもありません。「逐次が完璧になるまで同時は教えない」という、3校の中で最も硬派な積み上げ方式です。
【こんな人におすすめ】
「王道のステップで、プロとしての安定感を徹底的に叩き込みたい」というストイックな方。
私がサイマルを選んだ経緯はこちら
▶私がサイマル・アカデミーを選んだ理由
ISSインスティテュート:段階を細かく刻み着実に登る「教育型」設計
ISSのクラスは全8段階(5工程):準備 → 基礎逐次 → 中級・高度逐次 → 長文逐次〜同時移行 → 同時に整理できます。
- 準備 (通訳準備科)
語彙・文法・リスニング力を養い、通訳訓練の基礎を築く段階 - 基礎逐次 (本科1〜2)
基本的な逐次通訳技術を学び、リサーチ力を身につける段階 - 中級・高度逐次 (本科3〜プロ1〜2)
自然な表現力を養成し、難易度の高い逐次にも対応 - 長文逐次〜同時移行 (プロ3)
長文逐次の完成と同時通訳への移行準備 - 同時通訳 ( 同時通訳科)
本格的な同時通訳スキルを習得し、会議通訳者として仕上げ
| クラス | 内容・特徴 | 想定案件例 |
|---|---|---|
| 通訳準備科 | 通訳の基礎知識と土台となる力を築く(語彙・文法・リスニング) | 翻訳、簡易逐次、秘書・英文事務、秘書 |
| 本科1 | 基本的な通訳スキルを習得 | 展示会等での語学要員、受付、秘書 |
| 本科2 | 通訳の基礎力を完成させ、リサーチ力を身につける | ガイド通訳、展示会等での語学要員、受付、秘書 |
| 本科3 | 逐次通訳の土台を固めるため、表現力を習得 | 展示会でのブース付通訳、アテンド通訳、社内通訳・翻訳(兼アドミ)、英文事務、秘書 |
| プロ通訳養成科1 | 逐次通訳の基礎を完成させ、プロ意識を学ぶ | 展示会でのブース付通訳、アテンド通訳、社内通訳・翻訳 |
| プロ通訳養成科2 | 専門的な逐次通訳スキルを完成 | 展示会での商談通訳、難易度の高いアテンド通訳、社内通訳・翻訳 |
| プロ通訳養成科3 | 長文逐次通訳を完成させ、同時通訳へ移行 | 難易度の高い商談通訳・交渉、セミナーでの逐次通訳、社内通訳・翻訳 |
| 同時通訳科 | プロの会議通訳者として通用する同時通訳スキルを習得 | 講演会・セミナーでの逐次・同時通訳、社内通訳・翻訳 |
ISSの最大の特徴は、逐次通訳の訓練を8つの細かいステップに分け、一歩ずつ確実に積み上げるカリキュラムにあります。
- 基礎固め(本科1〜3): 基礎〜中級の逐次を段階的に習得。
- 高度化・専門化(プロ養成1〜2): 高度逐次とともに、専門分野への対応力を養成。
- 同時への移行(プロ養成3): 長文逐次の完成と同時に、初歩的な同時通訳も並行。
- プロの仕上げ(同時通訳科): 会議通訳者としての最終トレーニング。
【特徴】一段ずつ登る「教育型」スモールステップ
全8段階という最も細分化されたカリキュラム。逐次通訳を3工程に分けてじっくり鍛えます。
【他校との違い】
サイマルより一段の高さが低く、インターよりも「同時への移行」を慎重に遅らせています。3校の中で最も「挫折しにくい階段」を用意しているのが最大の違いです。
【こんな人におすすめ】
「いきなり高い壁に挑むのは不安。腰を据えて着実に実力を積み上げたい」という堅実派の方。
インタースクール:早期から同時通訳を意識「現場・実践型」設計
インタースクールのクラスも8段階(4工程): 準備 → 逐次基礎/発展 → 高度逐次 → 同時に分けられます。
- 準備 ➜ 通訳準備科 (Business level4 以上)
基礎英語力を前提に通訳基礎訓練から開始 - 逐次基礎/発展 (ビジネス通訳 I〜III)
逐次の基礎から発展。IIIで同時通訳の導入 - 高度逐次 (会議通訳本科 I〜II)
高度な逐次通訳と論理展開の強化 - 同時通訳 (会議通訳本科 III〜IV)
本格的な同時通訳導入〜完成、修了試験を経て仕上げ
| クラス | 内容・特徴 | 想定案件例 |
|---|---|---|
| 通訳準備科(Business level4 以上) | 基礎訓練(リプロ、ノートテイキング、サイトラ等) | 簡易逐次、工場見学逐次 |
| ビジネス通訳 I | 逐次基礎、用語力強化 | 商談逐次、展示会逐次 |
| ビジネス通訳 II | 逐次の発展、要約力強化 | 商談逐次、社内研修逐次 |
| ビジネス通訳 III | 逐次完成+同時導入 | 研修逐次、工場見学同時 |
| 会議通訳 本科 I | 高度逐次、時事知識習得 | 企業セミナー逐次 |
| 会議通訳 本科 II | 高度逐次の完成、論理展開強化 | シンポジウム逐次 |
| 会議通訳 本科 III | 同時通訳の本格導入 | 国際会議同時 |
| 会議通訳 本科 IV | 同時通訳完成+修了試験 | 政府会見同時、国際会議同時 |
インタースクールの特徴は、逐次の完成を待たずに同時通訳の要素を取り入れ、現場での即戦力(ハイブリッドな対応力)を養うカリキュラムにあります。
【特徴】早期から実戦を意識する「現場・スピード型」
ISSと同じ8段階ですが、中盤から逐次と同時をミックスして教えるハイブリッド方式です。
【他校との違い】
サイマルやISSが「準備クラス」で英語の補強を行うのに対し、インターは最初から通訳訓練に直結。3校の中で最も同時通訳への到達スピードが速いのが特徴です。
【こんな人におすすめ】
「高い英語力を持ち、一刻も早く実戦的な訓練(同時通訳含む)に入りたい」という効率重視の方。
大手3校の違いを一覧表で解説
同じ「通訳学校」でも、サイマル・ISS・インタースクールの3校はクラス設計や進級の考え方に大きな違いがあります。
- サイマル=逐次を完璧に固めてから同時へ(職人的な積み上げ)
- ISS=階段を細かく刻んで、一歩ずつ確実に(挫折させない設計)
- インター=早くから実践・同時を意識(現場主義)
3校のカリキュラムを工程ごとに整理した対応表です。
| ステップアップ工程 | サイマル・アカデミー | ISSインスティテュート | インタースクール |
|---|---|---|---|
| 準備 (通訳訓練導入) | 通訳準備 – 語学力・基礎スキル補強。シャドーイングや要約で通訳土台を養う。 ★入学目安: レベルチェック合格(TOEIC800点程度) | 通訳準備科 – 語彙・文法・リスニング+リプロ・シャドーイング。 ★入学条件: レベルチェック合格(英検準1級〜1級相当) | 通訳準備科 – リプロ、ノートテイキング、サイトラ中心。 ★入学条件: レベルチェック合格(英検1級やTOEFL iBT110点で免除可) |
| 基礎逐次 (初歩的逐次通訳) | 通訳Ⅰ – 基本的な逐次演習。 | 本科1 – 1〜2文の逐次で7割再現を目標。 | ビジネス通訳I – ビジネス逐次の基礎。用語力強化。 |
| 中級逐次 (実践的逐次通訳) | 通訳Ⅱ – 数字や専門用語を含む逐次基礎完成。 | 本科2 – 2〜3文の逐次で6〜7割再現。 | ビジネス通訳II – 実務逐次の仕上げ段階。 |
| 高度逐次 (上級逐次通訳) | 通訳Ⅲ – シンポ・会見音源で演習。 通訳Ⅳ – IR会見など高度逐次を完成。 | 本科3 – 3〜5文逐次で自然な表現を習得。 プロ養成科1〜2 – 専門分野の逐次通訳、プロ意識養成。 | ビジネス通訳III – 逐次完成+同時導入開始。 会議通訳本科I〜II – 高度逐次・論理展開強化。 |
| 同時通訳 (会議通訳) | 会議通訳I – ブース使用で同時通訳訓練。 会議通訳II – 専門講演・討論で同時完成。 ★修了要件: 修了試験合格で会議通訳者登録可 | プロ養成科3 – 長文逐次+同時導入。 同時通訳科 – 本格的な会議通訳仕上げ。 ★修了要件: 修了試験合格で登録通訳者資格 | 会議通訳本科III – 本格的な同時通訳導入。 会議通訳本科IV – 完成+修了試験。 ★修了要件: 修了試験合格で登録通訳者契約可 |
💡 ここがポイント!
インタースクールの「準備科」だけは、他校と毛色が異なります。サイマルやISSが英語力の補強から入るのに対し、インターは「高い英語力がある前提」で最初から通訳技術を叩き込む設計です。基礎英語力に不安がある方は、慎重に選ぶ必要があります。
まとめ
今回の比較を整理すると、学校選びのポイントは大きく4つに集約されます。
大切なのは、「自分に合ったスタイルで継続すること」です。大手3校以外にも、プライベートレッスンやセミナーなど、道は一つではありません。
本記事が、みなさんの学校選びや学習の参考になれば幸いです。
次に読んでほしい、おすすめの関連記事:
迷っている段階に合わせて、以下の記事を参考にしてみてください。
通訳学校まわりの情報を一気に見たい方は、こちらの「通訳学校について一気にわかる案内板」も便利です。
「そもそも学校に行くべきか?」で迷っている方へ
▶【独学】自力でどこまでいける?訓練の「できる・できない」
▶【診断】そもそも学校へ行くべき?迷いを消す「5つの判断基準」
▶【予習】入学前に知るべき「通訳学校の正体」と訓練の全貌
「進級できるか不安……」という方へ
▶ 【現実】進級の壁はどれほど高い?3校の厳しさと合格のコツ
▶ 【攻略】進級の壁をどう突破する?挫折を防ぐためのマインドセット
筆者のサイマルアカデミー通学の記録は下記の回顧録シリーズで書いています。
気になる方は、こちらも参考にしてみてください。
この記事は有益でしたか?
※本記事は各校の公式情報(2025年秋学期時点)をもとに、筆者の体験や解釈を交えてまとめたものであり、各スクールの公式見解ではありません。最新情報は必ず各校公式サイトをご確認ください。
本記事は執筆時点の公式情報をもとにまとめています。内容について誤りや更新がございましたら、お問い合わせフォームよりご連絡いただけますと幸いです。確認のうえ、必要に応じて修正いたします。
このブログを書いている人
現役社内通訳者として製造業で実務を担いながら、通訳学校にも通学しています。
本記事では、公式情報の整理と筆者の経験を交え、客観的に分析しました。
通訳学校や英語学習を検討する方の判断材料の一助になれば幸いです。


