回顧録#02: 通訳学校のレベルチェックと「急がば回れ」戦略

回顧録#02|レベルチェックとクラス選び 通訳学校体験記

現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
通訳学校での学びや日々の奮闘を、実体験を交えて綴る「通訳学校回顧録」シリーズをお届けしています

記事の概要

ここでは、通訳訓練学校への入学準備の続きとして、レベルチェックとクラス選択の決断についてお話します。

レベルチェックで見えた強みと課題

私は2023年3月サイマルアカデミーのレベルチェックを受験しました。このテストは、通訳の基盤となるスキルを評価するもので、所要時間は約1時間でした。

最初の課題はディクテーション(書き取り)でした。時事関連のテーマから4問出題されましたが、文章が予想以上に長く、正直プチパニックに陥りました。焦りから最初の2問は半分ほどしか完成できなかったのを覚えています。

次に、与えられた日本語文を英語に翻訳する英文ライティング(和文英訳)が出題されました。そして最後は、ネイティブ講師とのスピーキングテストです。

このテストは、与えられたトピックについて約2分間のショートスピーチを行い、その後に講師の質問に答えるという、英検1級の二次試験に酷似した内容でした。

論理的に思考を組み立て、説得力のある英語で表現する力が問われる、非常に実践的なテストでした。通訳ができる英語レベルにあるかどうかを判断するテストですが、英語の文法力、クイックレスポンスそして時事用語の理解度見ている印象でした。

私の場合は「Advanced-1」という判定で、通訳準備クラスを案内されました。

担当のネイティブ講師からは、「言いたいことは分かるが、ネイティブが使わない表現がある。しかし、自然な英語表現を身につければ、あなたは上達が早いと思う」という具体的なフィードバックをいただき、自身の強みと改善点が明確になったことは大きな収穫でした。

通訳学校入学見送りと基礎力構築

レベルチェックの結果とフィードバックに基づき、私はプロの訓練の必要性を感じ、前向きに通訳学校への入学を検討しました。

しかし、高額なコース受講料と、フルタイム勤務との両立に対する現実的な不安から、苦渋の決断として2023年4月の入学を見送りました。多忙な仕事の中で、授業の予習復習に十分な時間を確保できるか自信が持てなかったのです。

通訳学校への入学は一時保留しましたが、「本格的に通訳訓練を受ける」という目標は揺るぎませんでした。特に、逐次通訳におけるリテンション(記憶保持)の課題克服が実務においても急務だと感じていました。

そこで私は、通訳学校にすぐ入学するよりも、まずは効率的に通訳の基礎力を固めることが、最終的なスキルアップへの有効な戦略だと判断し、基礎力構築を徹底的に取り組める方法を探し始めました。

基礎力構築で通訳スキル向上の実感

この「基礎力構築」への転換は、結果的に非常に良い判断だったと感じています。

集中的な基礎訓練を通じて、課題であったリテンション(記憶保持)能力は向上しました。まだ完璧にないにしろ、通訳に必要な思考プロセスやノートテイキングの技術、瞬時に適切な言葉を選ぶ判断力といった通訳の基礎スキルを集中的に磨くことができたからです。

その結果、下の通訳クラスでは少し心の余裕を持って授業に臨むことができ、自分自身の成長を大きく感じられるようになりました。それがモチベーションにも繋がり、良い循環が生まれたのです。

私は2023年7月からオンライン基礎訓練を開始し約半年間継続、同年10月期から通訳学校での本格的な訓練へと進みました。この記事を書いている2025年8月現在、訓練開始から約1年10ヶ月が経過しました。

この期間の集中的な訓練を経て、ようやく「細かい情報を取りこぼすことはまだあるものの、コア情報はしっかりと押さえて通訳できるようになった」という実感を強く持てるようになりました。

下の通訳クラスを選んだ理由

入学を見送ってから約半年後、私はサイマルアカデミーに入学しました。その際、もう一度レベルテストを受けて上のクラスから始めるという選択肢もありましたが、私はあえてその道を選ばず、前回のテストで案内された通訳準備クラスからスタートすることにしました。

なぜなら、通訳学校は「急がば回れ」が最も確実な道だと考えたからです。

上のクラスでは当然、内容が難しく、求められるアウトプットも高くなります。そのため、基礎力が固まっていないと授業についていけず、アップアップになる可能性が高いと想定していました

実務で通訳をしているものの、回顧録#01で触れたTOBIS試験の結果が示すように、自分の通訳は基礎力が足りてないこと、またレベルチェックでネイティブの表現を磨くべきというフィードバックもあり、BBCニュースを元に英語表現を学びつつ、通訳基礎訓練もする準備科クラスからスタートすることを選びました。

かといって、この通訳準備クラスが簡単だったかと言えば、そうではありませんでした。後になって、実は進級が難しいクラスであると知ることになります。

通訳準備クラスの期末テストや「覚悟」という言葉との出会いについては、
【回顧録#09:サイマル通訳準備 ― 期末テストが映し出した自分の現在地】
で詳しく振り返っています。

結果的に、私にとってはそれが “早道” だったのですが、その詳しい背景や経験については、通訳準備の回顧録で改めて振り返りたいと思います。

また、大手通訳学校3校のクラス構成と進級率については、この記事の一番下にある別記事で触れています。

英語力と通訳力は別物

通訳学校は、英語を勉強する場所ではなく、英語ができることを大前提に、通訳技術というノウハウを身につける場所だと私は捉えています。

実際に、通訳クラスは受け身で勉強する場ではなく、積極的なアウトプットが求められます。進級判定も、英語が上達したかどうかではなく、通訳スキルが一定レベルに達したかどうかで判断されます。

英語力と通訳力は全くの別物だからこそ、下のクラスから基礎をしっかり学んだ方が、結果的には通訳者としてのスキルアップの近道になると個人的には思います。

さいごに

結局のところ、遠回りに見える道も、あとで振り返ると一番の近道だったと感じています。焦らず基礎を固める時間は、想像以上に価値がありました。

私のこの経験が、通訳者を目指す皆さんの学習方法を考える上で、一つのヒントになれば幸いです。


次の回顧録では、実際のクラス構成やスケジュールについて詳しくお話しします。

▼通訳学校まわりをもう少し客観的に知りたい方へ(関連記事)

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このブログを書いている人

現役社内通訳者として、サイマルアカデミーで学んだ日々を「回顧録シリーズ」として記録しています。
授業での体験や葛藤、成長の過程を率直に記録しています。
同じように通訳を目指す方に「リアルな声」として参考になれば幸いです。

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