
現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
通訳学校での学びや日々の奮闘を、実体験を交えて綴る「通訳学校回顧録」シリーズをお届けしています。
ここまで、入学までの道のりや心構えなどをつらつらと綴ってきましたが、ようやくここからは各通訳クラスの話に入ります。
まずは、通訳準備の 制度面・授業設計の仕組み に焦点をあて、クラス構成や講師陣、平日・土曜クラスの違いなどを整理して振り返ります。
はじめに
通訳訓練の入口にあたる「通訳準備」は、サイマルアカデミーの中でも独特の位置づけを持つクラスです。
ネイティブ講師と日本人講師が連携し、ニュース教材を核にA〜Dセッションのサイクルを回す設計は、受講生の基礎力を段階的に底上げするために緻密に組まれています。
日本人通訳者と英語ネイティブ講師がタッグを組み、それぞれの強みを活かした授業を行うことで、通訳に必要な英語運用力を効率的に引き上げます。
私の理解では、ある程度の英語力はあるけれど、まだ本格的な通訳訓練を始めるには基礎が不足している人が、通訳訓練に耐えうるレベルまで力を高めるためのクラスです。
クラスの雰囲気と多様な背景
「通訳クラスを受けるにはまだ不安があるけれど、本格的な訓練を始めたい」という理由で集まる方が多い一方、英語力の強化そのものを目的にしている受講生もいました。
当初、私は「きっと受講生は全員、通訳志望に違いない」と思い込んでいましたが、実際にはそうではありませんでした。会社の指示で受講している人、まずは英語を使った仕事を経験してみたいという人――目的は実にさまざまで、必ずしも通訳志望一色ではなかったのです。
英語力やバックグラウンドも多彩でした。ニュースや時事表現に不慣れな人もいれば、特定分野において専門的な知識を持ち、その得意分野が授業中のやり取りで光る人もいました。
私が受講した当時のクラス規模はおよそ12名。英語運用の得意・不得意ははっきりしており、その差を肌で感じる場面も多くありました。
たとえば、過去の習慣を表す would を仮定法と混同してしまう――こうした基礎の小さな差が、後の進級判定に影響していたのではと、今になって思います。当時はまだ、そのことを深く意識してはいませんでした。
ネイティブ講師+日本人講師の連携
サイマルアカデミー通訳準備クラスの大きな特徴は、担当講師は、ネイティブ講師と日本人講師とでタッグを組み、1ユニットにつき、A、B、C、Dの4つのセッションで構成され、合計8ユニットありました。各ユニットでは、社会問題から注目を集めている最先端技術など、様々なトピックスについて、BBCニュースを通して理解を深めるという流れでした。
A〜Dセッションはそれぞれ独立しているようで、実は一つの大きな学習サイクルを形成しています。Aセッションで理解し、Bセッション学んだ表現を使い、Cでパラフレーズなどで表現を広げて整え、Dで通訳として形にする。この流れに沿って予習復習を行えば、短期間でも確かな成長を感じられました。
・BBCニュース(約5分)を聞き、英語の新しい表現や発音、語感を学ぶ
・実際のニュースで、専門的な用語や複雑な構文も登場し、現場に近い感覚を養う
・Aで習得した表現を実際に使ってアウトプット
・シャドーイングやリプロダクションなどの通訳基礎訓練も組み込み、
聞いた内容を瞬時に自分の言葉で再現する力を養う
・日本語での表現確認を行い、英語から日本語への変換に必要な感覚を構築
・文法や言い回しの微調整ができるため、日本語力の底上げにもなる
・A〜Cで学んだ内容を使い、模擬対談形式で通訳演習
・両講師のフィードバックにより、英語と日本語の両面から改善点が明確になる
平日クラスと土曜クラスの違い
サイマルアカデミー通訳準備には、平日クラスと土曜クラスの2つの受講スタイルがあります。どちらもA〜Dの4セッションで構成されていますが、進行スケジュールや宿題の出方に特徴がありました。
平日クラスでは、A・B・C・Dの各セッションがそれぞれ別の日に行われます。授業間に日数があるため、毎回の宿題にじっくり取り組め、計画的に予習・復習を進められる印象でした。
土曜クラス(私が受講した形式)は4時間の集中授業で、1週目にAとB、翌週にCとDをそれぞれまとめて実施します。Aで学んだ内容を忘れる前にBでアウトプットできるのは大きな利点で、Bの宿題が省略されることも多いですが、その分授業内で濃密にカバーされ、体力的にはややハードでした。
翌週のC・Dも同じ流れで進むため、1週間の準備期間があってもCとDの予習をまとめて行う必要があります。平日クラスならCの復習を終えてからDの準備に移れますが、土曜クラスではCを終えた直後にDに入るため、Cを消化しきれないまま進むこともあります。ただ、そのぶん自分の実力や課題が鮮明になり、客観的に判断する良い機会にもなりました。
さいごに
通訳準備は、ネイティブ講師と日本人講師のタッグ、A〜Dセッションの循環型カリキュラムで、制度面から見ても緻密に設計された「通訳訓練の入口」でした。
この仕組みの中で学んだことで、自然と基礎力を強化し、自分の課題を可視化でき、その後のクラスでどう向き合うべきかを考えるための確かな土台が築かれました。
次の回顧録からは、この通訳準備での経験をさらに細かく辿っていきます。
📖 回顧録シリーズ
サイマルアカデミーで学んだ体験を連載形式でまとめています。
このブログを書いている人
現役社内通訳者として、サイマルアカデミーで学んだ日々を「回顧録シリーズ」として記録しています。
授業での体験や葛藤、成長の過程を率直に記録しています。
同じように通訳を目指す方に「リアルな声」として参考になれば幸いです。




