ブログについて

現役社内翻通訳者のYです。

数多くあるサイトの中から、「翻通訳者のつぶやき」にお越しくださり、ありがとうございます。

このブログが生まれた経緯と、ここで扱っているテーマをまとめました。

とくに「頑張っているのに、どこを直せばいいか分からない」方に向けて書いています。

このサイトで書いていること

このサイトは、通訳訓練でぶつかった壁を「なぜなぜ分析」で分解し、
崩れる地点を言語化して残す場所です。

“正解集”ではなく、あなたが「自分はどこで詰まっているのか」を切り分けるための材料置き場。

社内翻訳→社内通訳→通訳学校での実体験をもとに、
通訳訓練だけでなく英語学習の伸び悩みにも通じる構造を扱っています。

私のキャリア

このブログを立ち上げた経緯を書く前に、
まずは私のキャリアについて、少し説明させてください。

私はカナダ留学6年の経験を経て、英語力を活かし、幸運にも社内翻訳の仕事に就きました。

あとになって分かったことですが、
私の体感では、未経験から社内翻訳メインで入るケースは多くないように感じます。

ありがたい環境でした。ただ、それゆえに遠回りもしてきました。

社内翻訳から、サポート通訳、そして社内通訳へ。
本来であれば、転職を挟みながら段階的にステップアップしていくのが王道だと思います。

でも私は、ありがたいことに——
1社の中で、そのステップを踏める環境に恵まれました。

独学の限界を感じた瞬間

ただ、だからこそ。

本格的に通訳業務の比重が増えたとき、私ははっきりと「独学の限界」を感じるようになりました。

ずっと「英語ができる延長線」の上で走ってきたからです。
でも通訳は、英語力の延長ではなく、別のルールで伸びる世界でした。

ある日を境に“努力が成果に変換されない感覚”が濃くなっていきました。

そして「通訳で伸び悩む」という壁にぶつかったとき、
解決策を求めて、夜な夜なネット検索をしていました。

でも出てくるのは、どうしても一般的な話が中心で、

「結局、自分のどこが詰まっているのか」
「何を直せば伸びるのか」

その“切り分け”に役立つ情報が、あまり見つかりませんでした。

最初に通訳学校ではなくプライベート・レッスンを選んだ理由

そして数少ない情報を拾い集めながら、手探りで考察し最初に選んだのは、
通訳学校ではなく、プライベートレッスンでした。

理由はシンプルで、当時の私には、まだ確信がなかったからです。

「通訳訓練を本気でやりたい」と思いながらも、

  • 本当にそれを生活に組み込めるのか
  • 宿題や負荷の高い訓練を、仕事をしながら継続できるのか

それを見極める前に、大きな投資をするのが怖かったからです。

通訳学校は、学費も時間も、そしてメンタルも削られる。
“通うこと”自体が覚悟のいる選択だと、拾い集めた数少ない情報から知ったからです。

だから私はまず、プライベートレッスンで試しました。

  • 自分のペースで学べる形なら続けられるのか
  • 訓練の負荷に耐えられるのか
  • 「やりたい」という気持ちが、一時の熱ではなく習慣に変わるのか

言い換えると、あれは準備期間でした——通訳学校に行く前の、見極めの期間。

なぜ最初にプライベートレッスンだったのか

私に必要だったのは、いきなり環境を変えることよりも先に、
「自分が通訳訓練の負荷に耐えられる人間か」を確かめることでした。

通訳学校の厳しさは、学費の話だけではありません。
時間・体力・メンタルまで含めて、日常そのものを削っていく。

その現実を、私は薄々わかっていた。
だからこそ、まずは小さく始めて、確かめたかったのです。

準備期間で見えたこと(量より先に診断)

そして、その期間を通して分かったのは
“英語ができる”ことと、“通訳ができる”ことは別物だということ。

もう少し正確に言うと、

英語力そのものより先に、「どこで崩れているのか」を掴めないと伸びない世界

ということでした。

私は当時、真面目にやっていました。

でも、やればやるほど増えていったのは「練習量」ではなく、
“手応えがないまま頑張り続ける感覚”でした。

伸び悩んだとき、人はだいたい「量を増やせば何とかなる」と思います。

私もそうでした。

でも現実は、量の話より先に「方向」の話が来る。

何を鍛えているのか
どこが崩れているのか

その“診断”なしに努力だけ増やすと、
頑張っているのに結果がつながらない沼に入ります。

努力の量ではなく、努力の“当て方”。
その当て方を決めるのが、診断=切り分けでした。

私が通訳学校を選ぶことになったのは、
その沼を抜けるために必要なのが、根性ではなく「測れる場所」だと痛感したからです。

そして覚悟を決めて、万を期して
社内通訳者としてのスキルアップ目的で通訳学校の門を叩きました。

通訳学校で見えた“期待値のズレ”

そこで私が見たのは、想像していた以上に“違う目的”で来ている人たちでした。

英語目的の入校が多かった

そこで驚いたのが、
「英語力を上げるために通訳学校に来た」という人が想像以上に多かったことです。

当時の私は、シンプルに「なるほど、そんな視点もあるのか」と特別に思いませんでした。

ただ、実際に授業を受けて思うことは、
通訳スキルの向上と、英語力の向上は、似ているようで別物だということです。

英語学習と通訳訓練は、同じ“英語”でも視点がまったく違うからです。

通訳学校は、英語力向上の手段として有効な面もあります。
でも、その違いを知らずに飛び込むと、きついです。

折れるのは“才能”より“期待値のズレ”

「思っていたのと違う」
「自分には合わない」
「自分では到底、到達できそうにない」

そう感じて“合わない”と判断する人を、実際に見てきました。

そして今振り返ると、離脱の背景にはもう一つ要因がある気がしています。
それは、そもそも通訳学校の“本当の厳しさ”を、入校前に把握するのが簡単ではないことです。

私自身もそうでした。
各通訳学校が提供している情報ではなく、
実際に入校した方の一次情報が欲しくて探しても、出てくるのは断片的な話が多い印象でした。

それでも、具体的な体験談の記事をいくつか見つけ、
通訳学校は生半可な気持ちで入校するところではない——そう腹落ちさせることができました。

ただ、それでもなお。
通訳スキルを身につけたいと思って入校した方でさえ、事前に得られる情報が限られているぶん、
「想定していた学び方」と訓練の形式が噛み合わず、ギャップに苦しむ場面があります。

そして目的が英語学習寄りの場合、訓練の要求水準と噛み合わず、
苦しさが表面化しやすい——そんな印象があります。

才能の問題ではなく、情報不足による期待値のズレで折れていくのは、
もったいないと思うのは、余計なお世話かもしれません。

でも、もし入校前に「通訳学校がどんなところか」をもう少し具体的に知れていたら、
結果は少し違った人もいたのではないか。私はそう思うことがあります。

職場で見てきた英語のしんどさとTOEICのズレ

一方で、職場でも、海外との会議を負担に感じている人たちを見てきました。

社内ではTOEICのスコアを取ることが求められます。
そのプレッシャーを強く感じる人もいます。

700点未満でも、海外拠点のエンジニアと一対一で話さなければいけない。
「英語の会議に出ること」が仕事として組み込まれ、逃げ場がない。

そういう状況を、正直しんどそうに受け止めている人もいました。

ただ同時に、現場には別のタイプもいます。

文法も発音も完璧ではなくても、結局なんだかんだ通じてしまう。
そういう方も、確かにいるのです。

会議のしんどさは「運用力」に出る

差を作るのは、英語力そのものより“会議での運用力”だったりします。

言い換えると、英語の問題に見えて、
実は「場の回し方」「確認の入れ方」「言い直し方」みたいな技術で救われている人がいる。

逆に、それがないと、英語力があっても詰む場面がある。
私は現場で、その両方を見てきました。

TOEICと「話せる前提」のズレ

そしてややこしいのは、社会一般でTOEIC LRスコアが“英語力の証明”として扱われていることです。

TOEIC LRは読む・聞くの試験で、スピーキングは測っていません。

それなのに、LRのスコアがある程度あるだけで、「話せる前提」で見られてしまう場面がある。

本人は「読む・聞くはできる。でも会議になると口が止まる」と感じているのに、
周囲は「スコアがあるなら話せるはず」と無意識に期待してしまう。

このズレが、現場で苦しさを増幅させる場面を見てきました。

そして、自分の壁を分析していくうちに気づいたんです。

通訳で崩れる地点をたどると、
英語学習の伸び悩みも、同じ場所で起きていることがあると。

英語学習と通訳訓練は別物、でも崩れる地点は重なる

ここまで読んで、

「さっき“英語学習と通訳訓練は別物”と言ったのに、いま“同じ場所で起きる”って矛盾してない?」

と思われたかもしれません。

はい、別物です。ただ、崩れる“地点”が重なることがある——という話です。

通訳訓練は、英語で幅広い題材を自由に扱える人が、
さらにその上で 理解→保持→再構築→出力 を高速で回す世界です。

だから詰むのは、複数の処理が同時に走ったときの“負荷のピーク”時になりやすい。

一方、英語学習者の場合は、その同じボトルネックが もっと手前 に現れます。

内容理解の段階で止まる、発話の組み立てで止まる、返答が遅れて沈黙になる
——出てくるタイミングが早いだけです。

だから私は、通訳の崩れ方を分解していくほど、
英語学習の伸び悩みとも“つながって見える”瞬間があると感じました。

このサイトで届けたいもの

通訳者として活躍されている橋本美穂さんの著書『英語ないなら作っちゃえ』に背中を押され、
「ないなら書いちゃえ」で、このサイトを作りました。

このサイトでは、通訳訓練でぶつかった壁を「なぜなぜ分析」で分解しながら、
崩れる地点を言語化して残しています。

ここに書くことが、誰かにとっての絶対的な正解になるとは思っていません。

でも、私が経験した壁を分解・言語化した内容が、
“正解集”ではなく、皆さんが通訳訓練や英語学習で抱える悩みの
“切り分け”と“解決のヒント”になれたら嬉しいです。