通訳学校に入れる英語力とは?|英検1級・TOEIC・英語通訳者が語る“本当の入口”

通訳学校に入れる英語力とは?|英検1級・TOEIC・英語通訳者が語る“本当の入口” 通訳学校ガイド

現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
私は現在サイマルアカデミーで学びつつ、製造業(自動車)の現場で社内通訳として働いています。

「今の英語力で通訳学校に入れるのだろうか?」

日本語⇔英語の通訳学校を目指すとき、まず一番最初に浮かぶ疑問だと思います。

この記事では、TOEIC・英検1級・通訳訓練の3つを比較しながら、「通訳学校に入れる英語力」の正体を掘り下げ、スコアだけでは見えない“入口の基準”を整理します。

記事の概要

通訳学校に入るには、どれくらいの英語力が必要?本記事では、現役社内通訳がTOEIC・英検・通訳訓練の違いを比較し、通訳学校が本当に重視する「処理力」と「即応力」について解説します。

この記事はこんな人におすすめです!
・「英語は読めるし聞けるのに、いざ訳そうとすると言葉が出てこない」という方
自分の英語力が、通訳学校の「どのクラス」からスタートすべきか迷っている方
・自分の英語力通訳訓練に太刀打ちできるか不安な方
・通訳を始めるのに必要な英語力について知りたい
・TOEIC900点+&英検1級取得し、さらに上を目指し通訳学校を検討している

通訳学校まわりの全体像を知りたい方は、通訳学校について一気にわかる案内板 で関連ページを一覧できます。

通訳学校に入れる英語力の目安は「英検1級/TOEIC900」

通訳学校を目指す人が一番知りたいのは、「結局、どれくらいの英語力があれば入れるの?」ではないでしょうか。

結論を先に言うと、英検1級/TOEIC900前後が“スタートライン”というのが現実です。

基礎課程〜逐次クラスの負荷に“耐えやすい”ラインを考えると、英検1級/TOEIC900が入口として機能しやすい、と私は感じています。

目的目安補足
入れる「可能性」が出てくる準1級/TOEIC800台〜レベルチェック次第、個人差大
ついていきやすい(負荷が破綻しにくい)英検1級/TOEIC900前後“通訳以前”で詰まりにくい
本当の入口(学校が見るもの)処理力+即応力スコアでは測り切れない領域

ここで言う「レベル」とは、単に点数の高低ではありません。通訳学校の“レベル”は、ざっくり次の3つが混ざって語られがちです。

  • 入学目安(TOEIC/英検)
  • レベルチェックでの判定(通訳的な処理)
  • クラス段階(準備→基礎→逐次…)

このページはその中でも ①入学目安の“正体”を中心に、②③にもつながる「本当の入口」を説明していきます。

資格スコアだけでは見えない「通訳の入口」

実際、TOEICスコアや英検は、入学の “目安” にはなります。

大手通訳学校でも、英検1級レベルを「通訳初級クラスの受講目安」としています。もちろん、準1級やTOEIC800台でも、レベルチェックに合格すれば入校できるケースはあります。

ただ、通訳学校が見ているのはスコアではなく、理解→保持→再構築を一定速度で回せるかという処理の土台です。

通訳は、聞こえた英語を“正しく理解する”だけでは成立しません。その場で要点を取り、構造を組み、保持し、別言語で自然に出す――この一連の流れが回るかどうか

つまり、資格スコアは入口の「目安」であり、通訳の入口は 処理回路が回る状態そのものだと私は感じています。

個人的には、可能であれば英検1級を取得してから通訳学校の門を叩くほうが、負荷と伸びのバランスが取りやすいと思っています。

通訳学校が鍛えるのは「語学力の先」にある処理能力

「なぜ英検1級やTOEIC900が目安なのか?」、その理由はシンプルです。通訳訓練は、英語そのものを理解することに脳のメモリを使い切っている状態では、通訳が成立しないからです。

通訳のプロセスは、大きく分けて次の3段階で回っています。

  • 理解力:内容を素早く掴む(意味を取る)
  • 構築力:意味の骨格を組み替える(再構築する)
  • 即応力:一瞬で言葉に変換する(出す)

通訳学校は、この②と③を徹底的に鍛える場所です。しかし、土台となる英語力(語彙・構文処理)が不安定だと、脳のリソースがすべて①の理解だけで埋まってしまい、再構築や保持に回す余裕がなくなります

つまり、英検1級レベルの英語力は、通訳訓練という「高度な情報処理」のステージに立つための最低限のガソリンのようなもの。読み書きはできても瞬発力が弱いと、通訳学校の負荷を「破綻するほど重い」と感じ、脳内での処理スピードが追いつかず、授業についていくのが苦労する可能性があります。

通訳の入口におけるTOEICと英検1級の違い

ここからは、TOEICと英検1級が「何を測っているか」を整理します。通訳の入口では、この違いがそのまま“伸び方”の差になります。

TOEICが測るのは「理解の正確さとスピード」

TOEICが評価しているのは、ざっくり言うと 理解精度 × 処理スピードです。

  • 聞く
  • 読む
  • 文構造を捉える
  • 最適な選択肢を選ぶ

これは通訳の “受容処理” の基礎そのものです。しかし、TOEIC LRが測っているのは 理解まで。理解した内容を自分の言葉で発話する力の評価は含まれません

英検1級が評価するのは「構築力と発信力」

英検1級は通訳訓練との親和性が高い試験です。リーディング・リスニングに加え、ライティングと面接(スピーキング)で構築的な発信力を問います。

面接では、与えられたテーマについて即座に立場を示し、主張・理由・結論を英語で展開します。これは通訳訓練で言う「即応的要約+発信力」に近いと感じます。

英検1級は、「英語で考えを組み立てる」練習を通じて、通訳に必要な思考と言語の往復を鍛える試験に近いと個人的に思います。

段階主に問われる力特徴
TOEIC理解精度・スピード(受容力)聞ける・読める力を確認する
英検1級構築力・発信力自分の意見を展開する訓練
通訳訓練即応力・再構築力理解と発信を同時に処理する実戦

ここまでで、TOEICは「理解」、英検1級は「構築して発信する力」までを鍛えやすい、と整理できます。

では、理解はできるのに“通訳になると詰まる”のはなぜか。次で具体的に説明します。

TOEIC900点超えでも通訳学校で苦戦する理由

TOEIC900点を超える人は理解力が高く、ビジネス場面で十分通用することが多いでしょう。

しかし通訳学校では、下記の処理で壁にぶつかりやすいです。

  • 理解した内容を瞬時に他言語に組み替える
  • 意味単位で捉え、リアルタイムで構築する
  • 日本語の骨格を崩し、英語の語順で再展開する

これは、理解力と “再構築” の間にある認知ギャップが原因です

TOEIC LR試験は、リスニングとリーディングのみ評価する試験です。ですから、TOEICの学習のみで、ここはあまり鍛えられません。

比較項目TOEIC900点レベル通訳学校で求められる力
聞く力正確に聞き取る(理解力)聞きながら要点を抽出・構文を再構築する
話す力定型表現で伝える聞いた内容を即座に別言語で再表現する
英語の焦点正確な情報伝達意図の再構築・文脈変換

そしてこのギャップは、単に英語力の問題ではなく、背景知識を取り込み、意図を再構築して説明する力が要求される場面で一気に露呈します。私自身、社内通訳の現場でそれを痛感しました。

TOEIC900でも話せない理由についてはこちらTOEIC900でもスピーキングが苦手な理由
進級で多くの人がつまずく “4つの壁” をまとめた記事はこちら通訳学校で進級できない理由:4つの壁とクラス別の傾向

ビジネス英語と通訳英語のギャップ

社内で英語通訳をしていると、ビジネス英語との違いを痛感します。自動車メーカーの会議は技術テーマが中心で、「ボルトの弾性変形/塑性変形」といった用語が日常的に出てきます。

文系出身の私は当初、日本語でも理解が追いつかず、「意味が分からない=訳せない」という現実に直面しました。

通訳は「正しく聞く」だけでは足りません。文脈を読み、意図を取り出し、別言語で再構築する仕事です。

当時の私
当時の私

準備不足で概念が曖昧なままだと、訳語が出てこないのは当然で、私は話者に意味を確認し、理解した内容を英語で説明し直す——その繰り返しでした。

結局、通訳で問われるのは“知っている表現の再生”ではなく、知らない内容でも、その場で組み立て直す力です。だから現場では、英語力の前にまず理解力が問われます。理解さえできれば、単語が出てこなくても、自分の語彙と表現で概念を説明できますから

TOEICで磨けるのは主に「理解の素材処理」。その次に必要になる構築力・発信力を測りやすいのが、英検1級だと個人的に感じています。

次に、レベルチェックで評価される“本当の入口”を整理します。

通訳学校が本当に見ている「即応力と処理力」

通訳学校のレベルテストで評価されているのは、スコアよりも 処理速度即応性 です。

レベルチェックで評価されるポイント

TOEICや英検では測りにくい「処理品質」が見られています。

  • 意味の取り方
  • 因果関係の把握
  • 説明の正確さ
  • 要点抽出
  • 自然な訳出の安定性

私がサイマルで見た限りでも、進級できたのは瞬時に反応できた人でした。通訳学校が見ているのは、英語力の高さだけでなく、処理の柔軟性と即応性です。

スコアは“入学可能ライン”の目安であり、本当のスタート地点は「意味を聞き取る速さ」と「言葉を再構築する力」にあります。

サイマルアカデミー入学前のレベルテストも、そういった視点で構成されている印象でした。
私のサイマル・アカデミーのレベルチェック体験談

英検1級をおすすめする理由|通訳に直結する3つの力が育つ

なぜ英検1級なのか。英検1級を目指す過程では、通訳訓練に直結する3つの力が育ちます。

  • 要約力
    ➜英文を読んで主張・理由・結論を抜き出す。通訳の瞬発的理解に直結します。
  • 表現力
    ➜自分の意見を英語で再構成する。訳出精度と伝達の自然さを高めます。
  • 論理力
    ➜焦点(Theme / Rhemeの理解)を意識し、論理的にメッセージを再構築する基盤です。

また英検1級は、ビジネス英語に特化しておらず、政治、経済、国際社会、環境問題など幅広い題材を扱います。通訳は「知らないテーマ」にも出会う仕事なので、この幅の広さも相性が良いと感じます。

ここで育つ3つの力は、通訳訓練に入ったときの“伸びの初速”を上げてくれます。
ただし、通訳学校が最終的に見るのは「資格」ではなく、その力を時間制約の中で回せるかです。

ここまでの前提を踏まえると、「次に何を底上げすべきか」で選択肢が分かれます。

サイマルアカデミー「通訳準備クラス」のレベルは?

サイマルアカデミーの通訳準備クラスは、公式サイトによればTOEIC900が目安とされています。位置づけとしては、通訳訓練(逐次など)に入る前に、英語運用の最後の底上げをする段階だと感じます。

ただし重要なのは、準備クラスが「楽な入門」でも「安全牌」でもないことです。準備クラスは通訳コースの入口として設計されており、授業の負荷も判定も“通訳の視点”で動きます。

だからこそ、準備クラスを選ぶ前に、まず自分の不足がどこにあるかを切り分ける必要があります。「通訳を最短で始めたい人」が安易に選ぶと、遠回りになる可能性があります。

準備クラスを選ぶ前に確認したい“判断軸”

準備クラスで得する人

  • 英語力(語彙・構文処理・即時理解)をまず底上げしたい
  • きつくても、負荷をかけて英語力を伸ばしたい
  • 通訳スキルより英語力向上が目的、上のクラスへの進級に強いこだわりはない

準備クラスで損しやすい人

  • とにかく早く通訳訓練(逐次)に入りたい
  • 「準備=楽そう」と思っている(※通訳コースとしての判定がある)

※準備クラスが悪いのではなく、「今の不足が“運用”なのか“基礎”なのか」で、向き不向きが分かれます

そのため私は、本格的に通訳を目指すなら、先に英語力(語彙・構文処理・即時理解)を上げることをおすすめします。その方が負荷とコスパのバランスが良いと感じています。

また通訳準備クラスも“通訳コース”として設計されており、最終目的はあくまで「通訳訓練に耐えうる英語力をつけること」です。授業では通訳訓練の布石も打たれ、進級判定も通訳の視点で行われます。

英語力の引き上げが主目的であれば、サイマルには英語強化専門のコースもありますので、そちらも検討すると良いかと思います。

まとめると、準備クラスは「英語運用能力の最後の底上げしてから通訳訓練に入る」ための選択肢です。逆に、自分に足りないのが英語運用(語順で即時に理解して口に出す力) なのか、英語の基礎力(語彙・文法・構文の土台)なのかを見誤ると、時間もお金も溶けやすい。

だから私は、目的と現在地を照らして慎重に決めるべきだと感じています。

※詳しくは、回顧録シリーズの記事で触れています▶「通訳準備クラスの進級の厳しさ
 この先の準備クラスで何が起きるか知りたい人はこちら回顧録シリーズ:通訳準備クラス編

よくある質問(FAQ)

Q1. TOEIC800台でも通訳学校に入れますか?

入れる可能性はあります。レベルチェックに合格すれば入校できるケースもあります。
ただし、授業の負荷(保持・再構築・即応)を考えると、英語運用の土台が薄いと“通訳以前”で詰まりやすくなります。

Q2. 英検は必須ですか?

必須ではない学校もあります。
ただ、英検1級の学習過程は「構築力・発信力」を鍛えやすく、通訳訓練との相性が良いと感じます。

Q3. TOEIC900点あれば、通訳訓練は余裕ですか?

余裕とは限りません。
TOEICは理解の試験なので、通訳で必要な「再構築→即応」にギャップが出る人は多いです。

Q4. 通訳準備クラスは“通訳”がまだ始まらないのですか?

英語基礎強化が主目的ですが、通訳コースとして設計されており、進級判定も通訳の視点で行われます。「通訳訓練の入口として英語力を整える」クラス、と捉えるとイメージが合いやすいです。

Q5. 入学前に何をやれば一番コスパが良いですか?

私の体感では、次の3点を底上げしておくと、通訳訓練に入ってからの伸びが加速しやすいです。

  • 即時理解(語順処理)
  • 構文骨格
  • 言い換え(説明語彙)

まとめ:英検1級もTOEIC900点も“入口”にすぎない

通訳学校を目指すなら、英検1級は明確な指標になります。TOEIC900点も、十分なリスニング・読解基盤を示します。しかし、どちらも「通訳英語の準備段階」でしかありません。

  • TOEICは理解力の証明
  • 英検1級は発信力の証明
  • 通訳訓練は即応力の実践

通訳訓練では、英語の知識そのものよりも、「意味をつかんで、組み替えて、出す」回路が動き始めます。私はこれが、通訳訓練のいちばんの核心だと思っています。

そして厳しいのは、授業が“待ってくれない”ことです。

足りない英語力は、各自が自習で埋める前提で、訓練はどんどん進みます。だからこそ、入学前に「英語理解(語順処理・構文骨格)」と「文を組み立てる力」を底上げしておくほど、通訳訓練に入ってからの伸びが変わります

本記事が、数値の壁に惑わされず「自分の今の位置」を把握するヒントになれば幸いです。

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このブログを書いている人

社内通訳として働きながら、通訳学校で学んだことをベースに「英語学習の工夫」を発信しています。
シャドーイングやディクテーション、独学の限界など、実践的に役立つ情報をお届けします。

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