
現役社内翻通訳者のYです。<詳しいプロフィールはこちら>
通訳学校での学びや日々の奮闘を、実体験を交えて綴る「通訳学校回顧録」シリーズをお届けしています。
通訳学校の訓練は、決して安くないお金と時間を投じる大きな挑戦です。
サイマルアカデミーの門を叩き、心折れずに続けるために自分なりのルールと計画を作ってきました。ここでは、私がこれまで実践してきた「通訳学校で挫折しないための3つの心構え」を、体験談とともにお伝えします。
はじめに
通訳学校は進級基準が厳しく、途中で辞めてしまう人も少なくない――これは入学前から調べて知っていました。だからこそ、「進級が思うようにいかなくても、絶対に休まず続ける」という決意を胸にサイマルの門を叩きました。
継続を最優先
入学後、休学を経て復帰する方がいることを知りました。そして、期をまたぐと下のクラスからやり直しになる場合があるとも。その話から、改めて「続けることの大切さ」を強く意識するようになりました。
私が「絶対に休まない」と決めた背景には、独学で通訳をしていた頃の経験があります。実務の通訳機会が減ると、スキルはあっという間に落ちてしまう――何度もその現実に直面してきました。通訳は、続けなければ維持すら難しいスキルだと痛感しています。
受講料は将来への投資だと捉え、私は入学前から、1年単位の計画を立て、受講期間中は他の大きな予定を入れないようにしました。
また、業務との両立についても事前に準備しました。職場にも事情を説明して業務に支障がでない範囲でスケジュールを調整。進級は容易ではないと覚悟していましたが、それでもできるだけ短期間で進級したいと思っていました。
日々の生活の中で勉強時間をどれだけ確保できるかをシミュレーションし、各レベルで求められるスキルと自分の現状を比較。その差を定期的に振り返り、日々の学習内容や重点を決める指針としています。
授業を「成果発表の場」として活用
通訳学校は、受け身で通っているだけでは力がつきません。
私は、自分から積極的にインプットとアウトプットを繰り返し、授業を「評価してもらう場」ではなく「成果を見せる場」として臨むことを意識してきました。
通訳学校の最大の価値は、現役プロ講師から得られる具体的なフィードバックです。
予習・復習の成果を授業で出し切り、その場で受けた講師の指摘を起点に、自分の課題に向き合い、対策を立て、試して直す――この地道な反復サイクルを回すことを心がけています。
結局のところ、講師からもらった成長のヒントを力に変えられるのは、自分しかいません。
また、実際の進級試験では、いくら素晴らしい通訳ができたとしても、指定されたポーズ内に収まった部分しか評価されません。
私は、上のクラスに進むにつれてポーズ時間が短くなると知っていたため、時間感覚を身につけることは進級のための最優先課題と判断しました。
そこで取り入れたのが、サイマルで販売されている通訳訓練用の専用プレーヤーです。
ポーズの長さを自由に設定できるため、自分の通訳が時間内に収まっているかを常に確認しながら練習しています。時間感覚を鍛えるうえで欠かせない存在です。
毎回、原因を掘り下げて分析
通訳を始めたばかりの頃、思うように訳出できないと、
そのたびに「やっぱり英語力が足りないのだろうか」「リテンション力に問題があるのかもしれない」と、自分なりに原因を決めつけて落ち込んでいました。
しかし、訓練を続ける中で、それだけが原因ではないことに気づきました。
例えば――
- 単語や表現の理解不足➜インプット不足
- 自分の表現力の問題➜インプット&アウトプット不足
- 背景知識の欠如➜インプット不足
- 構文処理の甘さ➜英文法へ振り返る
- 集中力や「通訳のために聴く」姿勢の不足➜集中力を高める&意識持って練習
- メモが取れてない、メモの内容がわからない➜意識持って練習
原因は毎回異なり、複合的に絡み合っていることも多いのです。
通訳は、なんとなく理解しているだけでは通用せず、より深いレベルでの理解が求められます。普段の会話では成り立つレベルでも、訳そうとすると理解が浅かったと痛感することが何度もありました。
なぜなら「自分の考えを自分の言葉で話す」ことと、「人の話を理解し、それを自分の言葉で通訳する」ことの間には、大きな違いがあるから。
だからこそ、できなかった原因を表面的に片付けず、毎回丁寧に振り返ることを心がけています。
さいごに
私は「通訳できなかったのは能力的な限界ではなく、取り組み方が間違っているか努力が足りないだけ」と考えるようにしています。そう思えば、落ち込むよりも改善に向けて動くエネルギーに変えられます。
通訳学校はスキルだけでなく、「学び方そのもの」を鍛える場でもあるとサイマルに入って気づかれました。
この3つの心構えは、私にとって進級や仕事だけでなく、通訳者としての土台を支える一生ものの財産になりました。
次回は、私が実際に学んだ「サイマルアカデミー通訳準備」の授業内容や雰囲気を、体験談とともにお伝えします。
📖 回顧録シリーズ
サイマルアカデミーで学んだ体験を連載形式でまとめています。

このブログを書いている人
現役社内通訳者として、サイマルアカデミーで学んだ日々を「回顧録シリーズ」として記録しています。
授業での体験や葛藤、成長の過程を率直に記録しています。
同じように通訳を目指す方に「リアルな声」として参考になれば幸いです。



